「モニタースピーカーを横置きにしてもよい?」という疑問について解説します。
結論から言うと、横置き用モニタースピーカー以外のモニタースピーカーを横置きにしてはいけません。周波数特性がくずれ、適切なモニタリングができなくなるからです。
以下で、詳しく解説します。
モニタースピーカーを横置きにしてはいけない理由
ツイーターのウェーブガイドの形状
モニタースピーカーのツイーターには、音を拡散させるためにウェーブガイドがついています。
ウェーブガイドが横に広く、縦に狭い形状をしているものは、音を左右に拡げますが、上下には拡がらないようになっています。
音を左右に拡げることで、作業時に頭を左右に動かしても、高音が減衰して周波数バランスがくずれることを防ぐことができます。
また、音の上下への拡がりを防ぐことで、机や天井で音が反射するのを防ぐことができます。
スピーカーを横置きにした場合、ツイーターからの音が上下へ拡がり、左右には拡がらなくなります。
すると、頭を左右へ動かすとツイーターからの音が聞こえにくくなり周波数バランスがくずれてしまいます。
そのため、ウェーブガイドが音を横方向に拡げる形状になっているスピーカーを横置きにすると、適切にモニタリングすることが難しくなります。
ウーファーとツイーターの位相ズレ
ウーファーとツイーターで構成された2ウェイシステムのスピーカーの場合、低域はウーファーから、高域はツイーターから同時に出力されます。
スピーカーを耳の高さに合わせて縦置きにした場合、ウーファーから耳、ツイーターから耳の距離は、ほぼ同じになります。するとウーファーから出た音とツイーターから出た音が同時に耳に届くため、位相がずれることはありません。
頭を前後左右に動かしたとしても、ウーファーから耳、ツイーターから耳の距離は同じなので、位相ズレの問題は起きません。
一方、スピーカーを横置きにした場合、リスニングポイントで、ウーファーから耳、ツイーターから耳の距離が同じになるようにしたとしても、頭を前後左右に動かすと、ウーファーから耳、ツイーターから耳の距離にズレが生じます。それにより、ウーファーから出た音とツイーターから出た音が耳に届くタイミングがズレ、位相ズレが発生します。
位相ズレが発生すると、クロスオーバー周波数でウーファーの音とツイーターの音が打ち消し合い、音が減衰して周波数バランスが崩れてしまいます。
まとめ
以上に述べたように、モニタースピーカーを横置きにすると、頭を動かしたときに周波数バランスがくずれるため、適切にモニタリングすることが難しくなります。
よって、モニタースピーカーは横置きにすべきではありません。
横置き用のスピーカーは、このような問題が起きないよう設計されているので、横置きに出来ます。